探検発見 : スカパーJSAT スーパーバード茨城ネットワーク管制センター

所在地 : 茨城県常陸大宮市工業団地 60 (→Mapion)
訪問日 : 2004-04-10
URL : http://www.sptvjsat.com/business/satellite/equipment.html


茨城県には、筆者の大きな関心どころである衛星地球局施設 (と言うか、パラボラアンテナ) が数多く存在することもあり、これまでにも事ある毎に訪問してきています。
去る 2004 年 4 月、宇宙通信 (現・スカパー JSAT) のスーパーバード管制局を新たに訪問してまいりました。

宇宙通信株式会社 (SCC : Space Communications Corporation) は、三菱商事・三菱電機・三菱重工業等の三菱グループ各社が主体となって設立された電気通信事業者で、4 機の大型通信衛星「スーパーバード」を保有し、衛星通信サービスや CS デジタル放送サービス等を提供していました。
公共・官用では、自治体衛星通信機構による全国の自治体向け衛星通信ネットワークや、海上自衛隊艦艇の通信用にもスーパーバードは供されています。
最近の話題としては、米国 Boeing 社が三菱電機と共同開発した航空機向け衛星インターネット接続プラットホーム "Connexion by Boeing (CbB)" のアジア・太平洋地域におけるサービス衛星のひとつとしてスーパーバード C 号機が用いられていましたが、Boeing は 2006 年 12 月 29 日をもって CbB サービスを廃止しました。

2008 (平成 20) 年 10 月、宇宙通信は JSAT と合併し「スカパー JSAT」となりましたが、地上の管制系は、合併前と同様にスーパーバード系と JCSAT 系で異なる地球局を運用しています。

スーパーバード衛星の管制施設は、茨城県那珂郡大宮町 (現・常陸大宮市) の「スーパーバード茨城ネットワーク管制センター」と、山口県山口市の「スーパーバード山口ネットワーク管制センター」の 2 ヶ所にあります。
地理的に遠く離れた場所に設けられたのは、自然災害等により一方が機能を停止した場合にももう一方の施設で業務を遂行できるようにするためで、茨城・山口両局とも同様の機器構成を有し、全く同様に管制業務を行えるとのことです。
もっとも、アンテナの数からすると、茨城局のほうがメイン地球局であるような印象を受けますが。
また、前述の CbB に関連して、衛星回線と地上インターネット網を接続するためのゲートウェイが茨城ネットワーク管制センターに設置されていました。全世界に 4 ヶ所設けられる CbB ゲートウェイのひとつとして、アジア・太平洋地域上空の航空機とネットとの結節点となっていました。

スーパーバード茨城ネットワーク管制センターは、常陸大宮市の「水戸北部中核工業団地」南端に位置しています。
ただし、台地上に立地しているうえに台地中央部にアンテナが集中しているため、施設周辺からパラボラの姿を拝むのはかなり難しいです。また、施設の一般公開も行われていません。
一応、斜面をよじ登ってフェンス越しにアンテナ群を見ようと思えばできなくはありませんが、傍目には相当不審な行動に映ること請け合いです。我々の「パラボラ趣味」の安寧のためにも、見物に行かれる際にはくれぐれも節度ある行動をお願いしたいところです。

なお、地図で調べてみれば判りますが、常陸大宮から車で 1 時間掛からないところに常陸太田航空衛星センターがあります。
どちらも難易度の高い施設ですが (難易度って?)、興味のある方は「茨城パラボラ巡礼」コースに加えてみるのも面白いかもしれません。無論、くれぐれも関係各位様に御迷惑をかけませぬように。


SCC スーパーバード茨城ネットワーク管制センタースーパーバード茨城ネットワーク管制センターの施設入口。2 基ほどパラボラアンテナが後ろ姿を覗かせているが、もっと多数のアンテナが建物の反対側に林立している筈である。
(2004-04-10)

SCC スーパーバード茨城ネットワーク管制センター台地南側から民家の裏手を抜けて斜面をよじ登り、フェンスに囲まれた敷地南端からパラボラ群を望む。数m 〜 10m クラスのパラボラが、この写真に写っているだけで 8 基、写真範囲外に少なくともあと 1 基並んでいる。なにぶん距離があるうえに見渡せる範囲にも限りがあるので、詳細は不明。
(2004-04-10)

SCC スーパーバード茨城ネットワーク管制センターフェンス越しに見えるアンテナの中でもっとも大型のもの。直径 13m らしい。やはり三菱電機製なのでしょうか?
(2004-04-10)

参考文献

スーパーバードニュース No.38
宇宙通信 , <http://www.superbird.co.jp/sb_news/pdf/38.pdf>