所在地 : 茨城県つくば市千現 2-1-1
訪問日 : 2004-08-01, 2004-10-02, 2005-04-23, 2005-10-23, 2006-04-22, 2006-10-21, 2007-04-21, 2007-10-20
URL : http://www.jaxa.jp/about/centers/tksc/index_j.html
茨城県つくば市、筑波研究学園都市の一角に約 53万平方メートルの敷地を構える「筑波宇宙センター (TKSC : Tsukuba Space Center)」は、我が国の宇宙開発の中枢を成す一大拠点です。
1972 (昭和 47) 年 6 月に開設された筑波宇宙センターは、かつての宇宙開発事業団 (NASDA) 本社、現在は宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 宇宙基幹システム本部のほか、宇宙利用推進本部・総合技術研究本部・宇宙科学研究本部の一部が置かれた総合的事業所です。
その主な活動内容を以下に挙げてみると……
- 宇宙機 (人工衛星等) およびロケットの研究・開発・試験
- H-IIA 等の国産ロケットや各種技術試験衛星に関する研究開発を行うほか、各種の大型試験設備を有しています。
- 追跡管制ネットワークの中枢センター
- 国内外の宇宙通信所を統括して、打ち上げ後の人工衛星を 24 時間体制で追跡・監視し、衛星の運用維持に努めます。
- 宇宙環境利用への取り組み
- 無重量や真空、宇宙放射線といった地上で容易に得られない環境を利用した材料工学やバイオテクノロジー等に関する実験研究や、将来の有人宇宙活動に向けた医学研究等を推進します。
- 有人宇宙ミッションへの取り組み
- 国際宇宙ステーション (ISS) 計画に向けた日本独自の実験棟「きぼう」の開発と打ち上げ後の運用管制、宇宙飛行士の養成が行われています。
ロケット射場のような派手さには欠けるかもしれませんが、種子島宇宙センターとはまた違う形での、日本の宇宙開発のもうひとつの最前線です。
特に、有人宇宙飛行に関わる施設としては現在のところ日本で唯一の存在です。NASA に例えるならば、ジョンソン宇宙センター (テキサス州ヒューストン) に相当する拠点、と言えましょう。
筑波宇宙センターには、受付をすれば常時見学可能な展示室のほか、事前予約制の施設案内ツアー (平日と休日で見学コースが一部異なる) が用意され、最先端の宇宙開発現場を垣間見ることができます。
また、毎年 2 回、4 月の科学技術週間と 9 月の「宇宙の日」の前後に特別公開が行われ、通常の見学コースに含まれない施設も公開されるなど、こちらのイベントも見逃せません。
筆者の経験から申し上げると、特別公開のときは各施設で趣向を凝らしたイベントが催され、よほど旨くスケジュールを調整しない限り施設やイベントの全てをじっくり見て周ることはできません。通常の施設案内ツアーで見られる施設は、多くの来訪客でごった返すイベント時を避けて見学の機会を設け、特別公開時は普段見られない施設を重点的に見て周る、あるいは各種イベント主体に楽しむよう、ターゲットを絞った見学をお勧めします。
2005 (平成 17) 年 8 月 24 日、東京・秋葉原とつくば市を結ぶ「つくばエクスプレス」が開業、首都圏から筑波へのアクセスも改善されました。
種子島はさすがに遠いでしょうが、筑波であれば週末などを利用して「宇宙と科学に触れる一日」を設けてみるのもいいかも。
筑波宇宙センター正門。正面に見える建物は、総合開発推進棟。その高さは約 50m と、H-IIA ロケットの全高にほぼ匹敵する。
(2004-08-01)
2007 (平成 19) 年 4 月より公開された、H-II ロケット実機。と言ってもフライトモデルではなく、試験機体を寄せ集めたもの。
(2007-04-21)
展示室より、通信放送技術衛星「かけはし」(左)と環境観測技術衛星「みどり II」(右) の試験モデル。写真には収まりきらなかったが、環境観測技術衛星「みどり」の試験機も展示されている。3 機とも、ワゴン車やマイクロバス程の大きさのある大型衛星。
いずれも、実機と全く同様に造られた本物の試験機が展示されているのが凄いところ。もっとも、展示用模型を別に制作する予算が無かっただけかも知れませんが (苦笑)。
(2005-04-23)
宇宙ステーション試験棟にて組み立て中の、ISS 日本実験棟「きぼう」。黄色い大きな円筒が船内実験室のエンジニアリングモデル (実機は NASA へ搬入済み)、奥にある銀色の短い円筒は船内保管室の実機。
(2004-08-01)
同じく宇宙ステーション試験棟より、「きぼう」船外実験プラットフォームの実機。
(2004-08-01)
宇宙ステーション運用棟内の「きぼう」運用管制室。ISS 自体の管制を司るのは NASA ジョンソン宇宙センターだが、「きぼう」システムおよび実験の運用はここから行われる。
写真は、2004 年 10 月の特別公開時に催された、運用管制シミュレーションの模様。
(2004-10-02)
宇宙ステーション試験棟傍にひっそり屋外展示されている「セントリフュージ」。
本来は ISS のアメリカ実験モジュールで、日本が「きぼう」導入の対価として建造するも、ISS 計画見直しにより打ち上げがキャンセルされた、いわば黒歴史。
施設案内パンフレット等には一切紹介されておらず、通常の見学可能範囲や施設案内ツアーのコースからも外れているので、特別公開時には忘れず見ておくこと。
(2006-10-21)
宇宙飛行士訓練設備のひとつ、無重量環境試験棟の大型プール。水の浮力を利用して無重量状態を擬似的に作り、宇宙服を着た状態で潜り実際の船外活動と同じ行動を訓練する。
上から覗き込むと光の屈折の関係でさほど深く見えないが、実際は水深 10.5m もある巨大なもの。
(2004-10-02)
人工衛星の組み立てや試験を行う総合環境試験棟より、13m スペースチャンバー。内径 13m、奥行 16m のチャンバーに衛星等の試供体を入れ、内部を真空にし熱環境を模擬して宇宙機の耐環境性を試験する。
(2004-10-02)
1999 (平成 11) 年 11 月 15 日、打ち上げに失敗し太平洋に落下するも、海洋科学技術センター (現・海洋研究開発機構) の協力で 3000m の海底から奇跡的に引き上げられた、H-II ロケット 8 号機の第 1 段メインエンジン LE-7。
特別公開時には一般の来訪者へも公開される。
(2004-10-02)
追跡管制棟内の中央管制室。人工衛星がロケットから分離された後、太陽電池パドル展開や姿勢制御、そして所定の軌道への投入といった追跡管制を行うところ。軌道投入後は、衛星所有者へとオペレーションが移行される。
キルナ (スウェーデン)、マスパロマス (スペイン領カナリア諸島)、パース (オーストラリア)、サンチアゴ (チリ) にある JAXA の海外追跡局の遠隔運用を行うのも (写真の中央管制室とは異なる部屋らしいが) 追跡管制棟の役割。
(2004-10-02)
敷地北東寄りにある、宇宙ネットワーク送受信棟。東経 90 度のインド洋上静止軌道にあるデータ中継技術衛星 (DRTS) 「こだま」にアクセスし、地上の通信所の可視範囲外にある衛星との交信を可能にする。
ちなみに、大型のパラボラのディッシュ径は 9.2m。
(2005-04-23)