探検発見 : 内閣衛星情報センター 阿久根受信管制局

所在地 : 鹿児島県阿久根市
訪問日 : 2004-03-15, 2005-07-07


去る 2004 年 3 月 13 日、九州新幹線・新八代〜鹿児島中央 (旧・西鹿児島) 間が部分開業し、同時に平行在来線である鹿児島本線の八代〜川内間は、第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」として JR 九州から経営分離されました (川内〜鹿児島中央間は従来どおり JR 九州が運営)。

経営分離された在来線の沿線都市のなかでも、水俣市 (熊本県) や出水市 (鹿児島県) には新幹線駅が設けられた一方で、阿久根市 (鹿児島県) は新幹線ルートから完全に外れ、在来線の第三セクター化という「地元負担」ばかりを押し付けられる格好となりました。

その阿久根市に、1998 年に日本政府が導入を決定した「情報収集衛星 (IGS)」の受信局のひとつが建設されることとなったのが 2000 年 8 月のこと。
茨城県北浦町のメイン地球局 (北浦副センター) の受信域外をカバーするために日本列島の南北に 1 ヶ所ずつ副地球局が設けられることとなっていたものですが、九州地方に設けられる「南受信管制局 (仮称)」の立地が阿久根に決定した背景には、新幹線の恩恵を受けられず平行在来線問題を抱え、経済的にも低迷の続く市の活性化のためにと阿久根市側が誘致に熱心であったことがあるようです。

政府機関とは言え、衛星地球局施設ひとつの経済効果などたかが知れていることぐらい、誰の目にも明らかでしょう。
IGS およびその地球局施設の是非についてはこの場で論評はしませんが、新幹線にせよ衛星地球局にせよ、モノができれば自動的に地域振興が舞い込んでくるかのような幻想を阿久根市が抱いていたとすれば、筆者はむしろその発想のほうに疑問を感じます。

内閣衛星情報センター (CSICE)「阿久根受信管制局」は、阿久根市鶴川内地区の工業団地用地内に開設されています。
肥薩おれんじ鉄道折口駅を出て右手に進み、国道 3 号線に出たところを左折した後すぐに右折、暫く道なりに進むと、右手の台地上に青緑色のレドームが見えます。左前方に鶴川内中学校が見えてきたところの三叉路を右折し、上り坂を上る途中の右手に阿久根局棟舎が、更に坂を上るともう 1 基のレドームが見えます。
もちろん、不用意に接近して怪しまれることがあっても当方は一切関知いたしません。


CSICE 阿久根受信管制局阿久根受信管制局の管理棟舎。北浦局もそうだが、建物の大きさの割に窓が妙に小さく数も少ないあたりが怪しさを増している。電磁波漏洩防止か何かのためだろうか、よく知らんけど。
(2004-03-15)

CSICE 阿久根受信管制局阿久根局のレドーム。2004 年 3 月当時はこの 1 基のみ。
レドーム内には、直径 15m のパラボラアンテナが収容されていると言われる。
(2004-03-15)

CSICE 阿久根受信管制局2004 年末に完成した 2 基目のレドーム。地形の関係か、塔状に底上げされた上に造られている。このため、以前に比べ周辺から若干目立つようになった。
(2005-07-07)

参考文献

阿久根市情報衛星受信局建設問題
「ピースネットかごしまのホームページ」より , <http://www.synapse.ne.jp/~peace/tsushinbozyu.htm>