探検発見 : スカパーJSAT 横浜衛星管制センター/群馬衛星管制所

[横浜衛星管制センター]
所在地 : 神奈川県横浜市緑区三保町 229-1 (→Mapion)
訪問日 : 2004-06-12
URL : http://www.sptvjsat.com/business/satellite/equipment.html

[群馬衛星管制所]
所在地 : 群馬県北群馬郡榛東村大字新井字桃泉 3590-1 (→Mapion)
訪問日 : 2004-07-17


通信施設に、そしてパラボラアンテナに多大な関心を持つ、筆者のような特殊な人種にとって、衛星通信事業者の地球局施設は絶好のターゲットです。
去る 2004 年 6 月と 7 月に、国内最大手の衛星通信事業者 JSAT (旧・日本サテライトシステムズ、現・スカパー JSAT) の衛星管制局施設 2 ヶ所を (勝手に) 視察して来ました。

旧 JSAT は、静止軌道上に予備機を含め 7 機 (2007 年 12 月現在) の大型通信衛星 "JCSAT" を有し、日本国内はもとよりアジア・ハワイ・オセアニアまでをもカバーする衛星通信サービスや「スカイパーフェク TV!」で知られる CS デジタル放送サービスを提供しています。
また、2000〜2003 年にかけて NTT グループから N-STAR a、b 号機の 2 機が資産譲渡されており、NTT グループ各社への衛星回線提供も重要な業務となっています。なお、N-STAR a、b は 2006〜2007 年にかけて退役、後継機として JCSAT-5A が打ち上げられています。
このほか、パンナムサット (現在はインテルサットに買収) との共同所有衛星 Horizons-1 が西経 127 度の北米上に打ち上げられています。

なお、社名が JSAT であるのに対し衛星名が JCSAT である理由は、JSAT の前身である「日本通信衛星 (Japan Communications Satellite Company, Ltd.)」の英語略称が JCSAT であり、これをそのまま衛星名に採用し ITU (国際電気通信連合) にも JCSAT-○ として登録したためです。その後、サテライトジャパンとの合併で「日本サテライトシステムズ」、2000 年に JSAT の社名となった後も、新たに打ち上げられたものも含め、衛星名は慣れ親しまれた JCSAT の名を使用し続けています。

2008 (平成 20) 年 10 月、JSAT (株) は宇宙通信 (株) と合併し「スカパー JSAT 株式会社」となりました。新生 スカパー JSAT は旧 JSAT 保有の JCSAT と旧宇宙通信保有のスーパーバードの 2 種類の衛星を保有することとなりますが、地上の管制系は合併前と同様に JCSAT 系とスーパーバード系で異なる地球局を運用しています。

横浜衛星管制センター

スカパー JSAT の保有する通信衛星のうち、旧 JSAT 保有の (Horizons-1 を除く) 衛星の管制業務を受け持つメイン地球局が、横浜市緑区の横浜衛星管制センター (YSCC : Yokohama Satellite Control Center) です。
YSCC へのアクセスは、JR 横浜線中山駅から神奈川中央交通バス 2・52・53 系統に乗り、梅田バス停で下車となります。バス道からは施設の姿は見えませんが、近くに案内板が出ているので判るでしょう。

バス道の側から山に分け入る細い道を登り、アンテナサイト南側の斜面に出てみれば、直径 11m のフルモーションアンテナを筆頭に数m 〜 10m クラスのパラボラアンテナ計 11 基が所狭しと立ち並ぶ、なかなか面白い光景が見られます。


JSAT 横浜衛星管制センターJSAT 横浜衛星管制センターの施設入口。無論、素人がいきなり訪れても見学などさせて貰えるわけもないので念のため。
(2004-06-12)

JSAT 横浜衛星管制センターYSCC アンテナサイト。お世辞にも広いとは言えないが、敷地内や建物上に 11 基、文字通り「所狭し」と立ち並んでいる。
(2004-06-12)

JSAT 横浜衛星管制センターアンテナが最も密集して見えるアングル。建物と斜面に囲まれていることもあり、なにやら秘密基地のような雰囲気も。
(2004-06-12)

JSAT 横浜衛星管制センター所内最大の 11m フルモーションアンテナ。任意の方向に向けることのできるアンテナはこれ 1 基のみで、他のアンテナは、ターゲット衛星にのみ向けられたリミテッドモーションアンテナ。
(2004-06-12)

群馬衛星管制所

YSCC をバックアップする副地球局は、群馬県北群馬郡榛東村、陸上自衛隊相馬ヶ原演習場に程近いところに立地する群馬衛星管制所 (GSCS : Gunma Satellite Control Station) です。
通常は無人のようですが、YSCC とはデジタル専用線を通じて結ばれ、相互に遠隔制御運用が可能です。

なお、GSCS がバックアップする衛星は JCSAT 系のみです。旧 JSAT 保有衛星のうち N-STAR a、b 号機は、もともと「通信・放送機構」(TAO、現・情報通信研究機構) が管制業務を行っていた経緯もあり、旧 TAO 君津衛星管制センター (千葉県君津市) を副局として運用していました。


JSAT 群馬衛星管制所群馬衛星管制所の看板。
(2004-07-17)

JSAT 群馬衛星管制所GSCS 正門越しに見るパラボラ背面。結局のところ、これが一番マシに見られるアングルかも。
(2004-07-17)

JSAT 群馬衛星管制所GSCS アンテナサイト側は、二重のフェンスと木立に囲まれているので、写真に収めるのはかなり厳しい。と言うか、無理。
10m 以下程のリミテッドモーションアンテナが計 6 基。
(2004-07-17)

SNET 群馬通信センターおまけ : GSCS から程近い、JSAT 関連会社「衛星ネットワーク (SNET)」の群馬通信センター。建物上と建物前に、11m、5.5m、4.5m のパラボラが立つ。GSCS 訪問のついでにどうぞ。
(2004-07-17)