所在地 : 茨城県つくば市北郷 1
訪問日 : 2004-08-01, 2005-06-05
URL : http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/vlbi/facilities/tsukub32.html
「筑波研究学園都市」の名のとおり、各種の研究機関・施設が数多く集うつくば市は、科学スポットとしての見どころの多いところです。
つくばセンターの北西、車で約 10 分の国道 408 号線沿いにある国土地理院もそのひとつ。現地に行ってみると、巨大なトロフィーカップのようなオブジェが目に付くかと思います。
これが今回紹介する、VLBI 用電波望遠鏡施設です。
我が国の国土測量に関する行政機関である国土地理院では、測地網の規正や地殻変動の検出等を目的として、VLBI (Very Long Baseline Interferometry : 超長基線電波干渉法) による国内測地を 1986 (昭和 61) 年から開始しました。当初は、郵政省電波研究所 (後に通信総合研究所、現・情報通信研究機構) の鹿島 26m アンテナと、国内延べ 8 ヶ所の移動観測局によって行われていました。
1990 年代後半に国内 4 ヶ所の固定観測局 (つくば、父島、姶良、新十津川) が整備され、月 1 回の定期観測により国内の測地基準系の維持を行っています。
国土地理院本院内のつくば VLBI 観測局にあるパラボラアンテナは、鹿島の 26m アンテナの代替として 1998 (平成 10) 年に完成したもので、32m の大口径反射鏡と毎秒 3 度の高機動性 (1 分で 180 度旋回可能) を併せ持っています。
言うまでも無く、国内測地 VLBI 網の中心的存在であるほか、世界各国の協力が不可欠な、世界測地系の維持やプレート運動の監視といった世界規模での測地 VLBI 観測においても、つくば観測局は中国・上海天文台とともにアジア地域を代表する VLBI 観測局として位置づけられています。
国土地理院では、1949 (昭和 24) 年に測量法が公布された日付である 6 月 3 日を「測量の日」と定め、毎年 6 月第一日曜日には地理院本院において施設公開イベント「測量と地図のフェスティバル」が開催されます。
32m アンテナの稼動デモンストレーションも見られるので、総重量 550 トンもの大型アンテナが唸りを上げて「ものすごい速さ」で動く姿を是非とも体験してみましょう。
観測の行われていない、アンテナが真上を向いた状態のときも、その有用性を内外にアピールする。
「星がつたえる大地の動き」は、国土地理院 VLBI グループのキャッチコピーとして Web サイトでも用いられている。
(2004-08-01)
背面までパネルで覆われているために厚ぼったく見えるが、主反射鏡面はさほど深くない。当然ながら、美しい放物曲面となっている。
副鏡ステーの先端に GPS アンテナが設けられているのが面白い。
(2005-06-05)
つくば 32m アンテナの、架台を含む全体像。ディッシュの仰角、光線状態と共に、最も美しく見える (と思われる) アングルを狙ってみた。
デモンストレーション時の動画 (QuickTime 形式、6.43MB) も併せてご覧あれ。
(2005-06-05)
方位角方向の旋回を支える 4 台の車輪は、駆動モータごと内側に傾いて取り付けられている。毎秒 3 度の高機動性を実現させるための工夫と思われる。
(2005-06-05)
仰角制御部付近のクローズアップ。センターリングの上部で導波管が二股に分かれているが、右側は K バンド用の、左側から下方へ回り込むように伸びているものは S/X バンド用の受信機へ繋がっている。
(2005-06-05)
地理院内の展示施設「地図と測量の科学館」2 階から見た VLBI アンテナ。
左側の塔は測地観測塔。手前の飛行機は、1960 (昭和 35) 年から 1983 (昭和 58) 年にかけて航空測量に用いられたビーチクラフト B-65P 型機「くにかぜ」。
(2005-06-05)