探検発見 : 国土地理院 姶良VLBI観測局

所在地 : 鹿児島県姶良郡姶良町北山 1022 (→Mapion)
訪問日 : 2004-09-11
URL : http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/vlbi/facilities/aira.html


日本においてパラボラアンテナの多く見られるところと言えば、茨城県や山口県が思い浮かぶところですが、実は鹿児島県もパラボラ施設の多いところだったりします。
茨城・山口両県には衛星通信用地球局施設が多いのに対し、鹿児島は人工衛星追跡施設や電波望遠鏡が多いのが特徴です。前者については、種子島や内之浦といったロケット射場を擁することを考えれば当然とも言えます。今回取り上げるのは、後者の電波望遠鏡施設のほう。

電波天文学の世界では、電波干渉計技術の実用化により、大型の電波望遠鏡を用いずとも 10m 程のアンテナ複数基によって同等以上の分解能を得ることが可能となりました。
更に、地理的に遠く離れたアンテナで干渉計を実現する VLBI (Very Long Baseline Interferometry : 超長基線電波干渉法) の登場により、天文観測のみならず測地観測への応用も行われるようになりました。
VLBI では、基線 (2 基のアンテナの間隔) を長くするほど高い分解能を得ることができます。幸い、日本列島は東西方向にも南北方向にも細長い形状をしているので、アンテナの配置を工夫すれば国内のみでも 1,000km 以上もの基線長を確保することが可能です。
もちろん、南西諸島や小笠原諸島まで含めればより基線長を伸ばすことも可能ですが、交通の便等を考慮して本土四島内にアンテナを設けるならば、本土最南端の鹿児島は良き候補地のひとつとなりましょう。
そんなわけで鹿児島には、単体での利用よりも VLBI を想定した電波望遠鏡施設が多く存在します。例えば、鹿児島大学は錦江湾公園 (鹿児島市平川町) 内に直径 6m の電波望遠鏡を有しています。

鹿児島空港から車で 1 時間程の姶良郡姶良町北山に、国土交通省国土地理院の国内 VLBI 測地観測局のひとつ「姶良 VLBI 観測局」があります。直径 10.26m のパラボラアンテナを有し、月 1 回定期観測を行っています。運用は茨城県つくば市の国土地理院本院内にある中央局から遠隔操作で行われ、通常時は施設は無人です。
隣接して、姶良町立天文台「スターランド AIRA」(ちなみに初代館長は、百武彗星の発見者で知られる故・百武裕司氏) があることからも、宇宙天文観測の適地であることがうかがえます。筆者の場合は開館時間外だったために天文台はパスしてしまいましたが、パラボラと併せて訪問してみるといいかも。


国土地理院 姶良VLBI観測局姶良 VLBI 観測局。観測棟舎に展示スペースがあるわけでもなく、ひっそりとしたロケーション。まぁ、わざわざパラボラを見に来る物好きも滅多にいないだろうけど。
(2004-09-11)

国土地理院 姶良VLBI観測局1997 (平成 9) 年完成、姶良局の 10.26m パラボラアンテナ。通常は無人なので接近し放題だが、だからと言って悪さなぞしないように。
(2004-09-11)

スターランド AIRAおまけ : VLBI 観測局に隣接する姶良町立天文台「スターランド AIRA」。パラボラを見に姶良まで来たなら、せっかくなので時間が許せば覗いてみるも良し。
(2004-09-11)