探検発見 : 国立天文台 VERA入来観測局

所在地 : 鹿児島県薩摩川内市入来町浦之名 4018-3 (→Mapion)
訪問日 : 2004-09-11
URL : http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/stations.htm


1999 (平成 11) 年、国立天文台は新たな宇宙観測プロジェクト「VERA」を開始しました。
VERA とは VLBI Exploration of Radio Astrometry の略で、日本語では「天文広域精測望遠鏡」の名称が与えられています。
基線長 2,000km の VLBI によって銀河系内の電波星の位置を極めて高い精度で測り、天体の三角測量をもとに銀河系の三次元地図を作成するプロジェクトです。
その観測能力を活かして、銀河系内のダークマターの分布等、銀河の謎を探る各種研究や、地球自転や地殻変動等の測定といった地球惑星科学方面での活躍も期待されています。

VERA プロジェクトに向けて、2001 (平成 13) 年から 2002 (平成 14) 年にかけて、直径 20m の電波望遠鏡が国内 4 ヶ所 (水沢、入来、小笠原、石垣島) に開設されました。水沢局は既存の水沢観測所内に設けられましたが、他の 3 局は新たに建設されたものです。
VERA における観測では、2 つの電波天体を同時に観測することで大気ゆらぎの影響をキャンセルし高精度の観測を実現する「相対 VLBI」が用いられますが、VERA 用電波望遠鏡では、相対 VLBI を効率的に行えるよう、1 台のアンテナで 2 つの天体を同時に観測できる、世界でも他に例を見ない「2 ビームアンテナ」が採用されているのが特徴です。

VERA プロジェクトのために新設された観測局のひとつ「入来観測局」は、鹿児島県薩摩郡入来町 (現・薩摩川内市入来町) の八重山高原にある鹿児島大学入来牧場内に開設されています。局建設はもとより、実際の観測・運用においても、鹿児島大学と国立天文台が共同で行っています。
もっとも、2004 (平成 16) 年に水沢局内に AOC (Array Operation Center) が完成し、各局の遠隔運用が可能となったため、現在は現地でのオペレーションはテープ交換等の補助的作業が主となっているようです。

VERA 入来観測局へは、鹿児島市中心部から車で約 1 時間。国道 328 号線の入来峠で薩摩川内市に入ったところを左折、道なりに進みゴルフ場を過ぎた先に、天を仰ぐ 20m パラボラアンテナが見えます。道路沿いに駐車スペースが設けられており、屋外設置のアンテナを見るぶんには自由に見学が可能です。
姶良町の国土地理院姶良 VLBI 観測局からも 1 時間程で辿り着くことができますが、途中かなり幅員の狭い山道を抜けることとなるので、コンパクトカーの利用を推奨します。


国立天文台 VERA入来観測局VERA 入来観測局の全景。右側のドームは、鹿児島大学の光学望遠鏡施設。
(2004-09-11)

国立天文台 VERA入来観測局入来観測局入口ゲートより。解説パネル 3 枚とパンフレットを収めた箱が設置されており、自由に (と言うか、勝手に) 見学できる。観測棟内まで見学したければ事前連絡が必要でしょうが。
(2004-09-11)

国立天文台 VERA入来観測局VERA アンテナの銘盤。野辺山の 45m 電波望遠鏡や JAXA 臼田の 64m アンテナと同様、三菱電機製。
(2004-09-11)

国立天文台 VERA入来観測局20m のディッシュ径は、巨大とまではいかないが小さくもない微妙なサイズ。それでも、旋回式架台に半円形のセンターリングと、大型アンテナ並のしっかりとした構造をしていて好感が持てる。
(2004-09-11)

国立天文台 VERA入来観測局ディッシュ面を見ることができなかったので、せめて副鏡の見える角度からアンテナ全景を。
(2004-09-11)